雪がとけたら


「お仕事は…やりがいもあるし、充実もしてる。でもやっぱり…みんながいるあの学校が、あたしの一番の居場所なんだよね。みんながいてくれるから頑張れる。だから…どんなに忙しくなっても、帰る場所はあそこでありたいんだ」

あいつは忙しくなってから、あまり寮に帰れずにいた。多分これからもっとそんな日が増えていくのだろう。


「…どんなに有名になっても、あたしはあたしでいたい。」


そっと落とす様に微笑むあいつに、日の光が射した。

僕はそれをじっと見つめる。



…あいつはあいつだ。

どんなに有名になっても、それは変わらない。


僕はずっと考えてた。

僕には何ができるのか。

あいつは今日、その答えを教えてくれた。


「…帰る場所は、ずっとあるからな」


あいつはそっと顔をあげ、嬉しそうに笑った。



…僕が出来ること。

あいつの帰る場所を守り続けること。

そのままのあいつでいれる場所を、僕は守り続けよう。


僕はそう、胸に誓った。



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