雪がとけたら
「…あたし」
やがて泣き終えたあいつはかすれた声で言った。
「あたし…ダメだな。迷惑かけちゃった…」
多分映画の事を言っているのだろう。
責任感のつよいあいつは相当気にしているに違いない。
僕はあいつの腕を布団に入れて、ぽんっと頭に手を乗せた。
「そう思うなら、早く元気にならなきゃ。今はゆっくり休んで、な。」
あいつは小さく微笑んで、再び瞼をおろす。
「雪ちゃん」
「ん?」
「眠るまで…側にいてくれる?」
「…いるよ」
僕の一言に安心したのか、あいつはすぐに寝息をたてはじめた。
そんなあいつの頭を撫でながら、やっぱり疲れているんだと実感する。
…できるだけ側にいよう。
僕は小さく決意をし、眠ったあいつを見届けて病室をあとにした。
……………