雪がとけたら
『雪ちゃん』
…小さな頃のあいつの笑顔が頭をよぎった。
屈託のない、純粋無垢なあの笑顔。
今も変わらない、あの笑顔が。
「…俺は…」
ようやく僕は、口を開いた。
「正直俺は…あいつを支えてやれる程の器は、持ってないと思います。今も昔も…焼きもちやきで、自信がなくて、全然子供で。でも…」
僕は真っ直ぐ、おじさんを見た。
「あいつを必要としているのは、僕も同じです。あいつが僕を必要としてくれるのなら…僕はあいつの側から、離れませんから。」
…どこにいても、何をしてても、どんな事を感じていても。
僕はあいつをいつも想う。
いつも、あいつを。
…おじさんは安心した様な、どこか寂しそうな笑顔を浮かべながら、「ありがとう」と呟いた。
コーヒーの流れる喉元が妙に熱く、目が覚める様な気持ちになった。
……………