雪がとけたら
…全てが、愛しかった。
あいつの笑顔も、あいつの涙も、
あいつの強さも、あいつの弱さも、
罪も汚れも全部全部、
…愛しくて愛しくて仕方なかったんだ。
「好きだよ」
…好きだよ、悟子。
全部をひっくるめて、お前が好きだ。
今はこんな ことしか言えないけど、
本当はもっともっと、俺の全てをかけて伝えたいくらいなんだ。
もっともっと言いたいことは沢山あるのに、言葉にできないことがこんなにもどかしいなんて知らなかった。
幸せばっかじゃないけど、
辛さも苦しみも沢山あるけど、
それらも全て愛しいと思えたなら…
それを愛だっていうんじゃないかな。
…悟子。
俺の愛は、君に届いてる?
「…雪ちゃん」
僕の腕の中で、あいつは呟いた。
「八つ橋」
「え?」
「八つ橋なら、食べれる気がする」
僕の腕の中で、ようやくあいつが微笑んだ。
「…雪ちゃんとの幸せの味がするから」
……………