雪がとけたら

「まぁとにかく…2月の終わりに、みんなでナァの親戚のコテージに行かないかって話になっててさ。佐久間さんの受験も1月末には終わるし」
「千歌なら絶対大丈夫だしね」


…誤解のない様に言っておくが、僕達は無事大学進学が決まった。

一久は教育学部、ナァは心理学部、僕と西は文学部だ。

世の受験生には申し訳ないが、付属大の推薦で入った僕達は受験勉強らしい勉強はしていない。

まぁその分、いつも頑張ってたわけだけどな。


…多分。


「コテージかぁ…。ナァちゃんの親戚ってことは、長野?」
「そ。スキー場の近くらしいから、雪も綺麗だよ」
「凄い!楽しそう!」

手をあわせて喜ぶあいつを見て、乗り気なことを悟った。


「じゃあ、悟子も参加な」
「うんっ!」


満面の笑顔のあいつの頭をくしゃっと撫で、僕は言う。



「いい思い出、作ろうな」










……………






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