雪がとけたら



……………

コテージに入れば暖房がしっかりきいていて、かじかんだ手先を暖めてくれた。


「親戚割引でかなり安くしてもらってるし、ゆっくりくつろごーねっ!」

ナァはソファーの上で飛び上がり、キャッキャとはしゃいでいた。

…やっぱり一久とナァは、お似合いだ。



「部屋割りどうする?」

一通りコテージの中を見回った西が言った。

部屋は二部屋。一応、四人部屋だ。


「男女別でいいんじゃね?つかそれ以外分けようねぇよ」


僕は荷物をおろして言った。

そんな僕に視線が集まる。


「…何だよ」
「いや…戸田さんと一緒じゃなくていいのかなぁって」

一久がからかうように呟き、西は隣でニヤニヤしながら腕を組んでいた。


「ば…っ」
「あたしが何?」


…グッドタイミング。

荷物を抱えたあいつは僕の後ろに立っていた。

ここぞとばかりに一久が「それがさぁ、雪が…」なんて話始めるから、僕は急いで一久の口を覆った。


「悟子、コテージの周り歩こうぜ、外外!」

僕は早口でそう言い、一久はふがふがと苦しそうにもがく。

きょとんとしたあいつを見ながら、西は変わらない笑いを続けていた。



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