雪がとけたら
……………
「もぉ~、雪ちゃんどうしたの?」
サクサクと雪を踏む音が二人を包んでいた。
あいつの手を引きながら僕はコテージの裏に回る。
「何の話してたのよ」
「や、まじどうでもいい一久の冗談だから」
「ふぅん?」といかにもふに落ちなさそうな返事をしながらも、ひょこひょこと僕の後ろをついてくる。
「ほら、ここめっちゃ景色いい」
山とは反対側を見下ろすと、そこは街が広がっていた。
そんなに大きな街じゃないけど、所々存在する雪の積もった屋根が綺麗に輝いている。
「わぁ…綺麗」
「だろ?来たときに絶対ここ綺麗だと思ってたんだ」
僕等は並んでそれを眺めていた。
握った手が温かさを伝える。
景色に見とれるあいつの横顔を見ながら、僕は小さく微笑んだ。
…ふいに、背後に足音がした。
思わず僕は振り向く。
「あ…」
そんな僕に気付き、あいつも「どうしたの?」と振り向いた。
隣のコテージの影から、小さな女の子がひょこっとのぞいていた。
足元には、小さな雪だるまがちょこんといる。