雪がとけたら


初めは目を丸くしていたあいつも、にっこり笑って「こんにちは」と叫んだ。

女の子はちょこんと飛び出し、「こんにちは」と言う。


あいつは僕の裾を引っ張りながら、彼女に近付いて行った。


女の子の前にしゃがみ、ニコッと笑う。


「ご家族と来たの?」
「お父さんとお母さん」
「雪だるま作ってたの?」
「うん。でも彩架ちっちゃいから、ちっちゃいのしかできない」

彩架と名乗った小さな女の子の手には、小さな手袋がはめられている。

あいつは僕を見上げた。

言いたいことはわかっている。

僕はあいつの横にしゃがんで言った。


「じゃあ、お兄ちゃん達と一緒に作ろうか。もっとでっかい奴、作れるよ」


彩架ちゃんは大きな目を丸くして「本当!?」と言う。


僕はあいつと目を合わせて笑い、「ちょっと待っててな」と彩架ちゃんの頭を撫でた。


僕は走ってコテージに戻り、「一久ぁ!!」と叫ぶ。


ぞろぞろと出てくる仲間達に、僕は満面の笑顔で叫んだ。






「雪だるま作るぞっ!!」








……………





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