雪がとけたら



「…雪ちゃん」


僕の腕のなかで、あいつは小さく呟いた。






「抱いてほしい」







…驚いてあいつの顔を見るが、あいつは真剣に僕を見つめている。

鼓動が高まる。



「…思い出作ろうって言ったよね。あたし…雪ちゃんとの思い出が欲しい。一番幸せな…思い出が」


真剣なあいつの瞳を覗き込みながら、「本気?」と聞く。


あいつは頬を染めながら、コクリと頷いた。




…僕はそっと、あいつを抱き寄せる。

あいつは逆らうこともなく、僕の腕の中に吸い込まれていった。



おでこ、耳たぶ、頬、首筋と、順に唇を落としていく。

その度にあいつは小さく反応し、そのひとつひとつが愛しくて仕方ない。


首筋に顔を埋めながら、僕はゆっくりとあいつをソファーに倒していく。


あいつの鼓動が耳に響いた。


「悟子…」


僕はひとつ、鎖骨の上に赤い痕を残す。


そして唇を合わせると、優しく微笑んであいつの髪を撫でた。



「…続きは、また今度」




驚いた表情のあいつをお越し、軽く抱き締めた。


「焦らなくていいよ。一歩ずつでいいじゃん」



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