雪がとけたら
「ごめんなさい…こんなことに巻き込んでしまって…」
彼女は泣き腫らした顔で呟いた。
僕達は首をふり、「絶対見つかりますから」と励ます。
…僕は山に視線を送った。
昼間の彩架ちゃんの笑顔を思い出す。
『彩架、お兄ちゃんが欲しかったの。だからお兄ちゃん達が本当のお兄ちゃんになってくれたら、すごくすごくいいのになぁ』
「俺、もっかい見てくるよ」
僕はダウンのフードをかぶり言った。
「捜索隊が行ったのと反対の山、見てくる」
「危ないぞ?風も出てるし…」
「ヤバいと思ったら引き返すよ」
こんな寒い中、彩架ちゃんは一人で遭難してるんだ。
…こんな所で待ってなんかいられない。
「…わかった。俺も行く」
西はそう言うと、懐中電灯を取り出した。
一久もそれに続く。
「じゃあとりあえず、近場の山を探そう。ヤバいと思ったら引き返すこと。いいな?」
西が確認する様に言い、僕達は頷いた。