雪がとけたら
「本当に大丈夫?」
ナァ達は不安そうに僕達を見た。
僕は安心させる様に微笑む。
「大丈夫だって。風が出てるっていっても吹雪いてないし。山だってそんなに広いわけじゃないんだから」
それでも不安げなあいつの頭にポンッと手を乗せ、「心配すんな」と呟いた。
あいつは小さくこくんと頷き、「あたし達もコテージの周りもっかい探してみるね」と言った。
「行こう。行くなら早い方がいい」
西がそう言い、僕達は山に足を向ける。
「雪ちゃん!」
あいつが僕の背中に叫んだ。
眉間にしわを寄せたあいつの頬をつまみ、ニカッと笑って言う。
「変顔さっちゃん」
あいつは目を丸くしたが、「ふざけないでよっ!」と僕の手を払った。
僕はそんなあいつを見て笑い、「三人一緒なんだから大丈夫だって。お前達も気をつけて探せよな」と言った。
そこでようやくあいつも、小さく笑う。
その笑顔を確認した僕は、ポンッとあいつの頭を叩き「行ってくるな」と言った。
あいつもしっかりと、「気をつけてね」と言う。
小さなあいつの笑顔を背に、僕達は山に向かって行った。