雪がとけたら





……………



サクッ、サクッ



あたしの足の下で雪が音を鳴らす。

よりによって、こっちまで雪じゃなくてもよかったのに。


あの日は全国的に雪が降ったらしい。

何かを予感させるような、やむことを知らない雪。

たった一晩で、街は白に覆われた。




たった一晩…。






サクッ、サクッ



息が荒くなる。

この街にこんなに雪が積もったのはいつぶりだろう。

雪に足をとられ、転びそうになりながらもひたすら前へ進む。




…あの日雪ちゃんも、こうして前へ進んだのだろうか。


何を思いながら、進んだのだろうか。













…捜索隊が吹雪で捜索を一旦断念した時、雪ちゃんはいなかった。


しばらくして戻ってきた西君と一久君は、雪ちゃんがいないのを知り愕然としていた。


三人は、途中で離ればなれになったらしい。



吹雪の中雪ちゃんを探しに行こうとするあたし達を、捜索隊の人が止めた。


明け方、雪が止んだらすぐに捜索を開始するから、と。







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