雪がとけたら


『ば…っ!お前ら調子乗りすぎだっつの!』
『ほらほら照れないで~っ!さっちゃんを好きになった理由は何ですかぁ?』
『こんなとこで言えるかよっ!』


雪ちゃんは立ち上がって、画面から消えた。


『ちょ、お前らまじ外出てろって』
『えぇ~?だって雪君言わないじゃん!』
『まじ、まじちゃんと言うから。お前ら見てるとやりにくいんだよ』


画面の外でみんながぶーぶー言う声が聞こえ、やがてガチャンとドアの開く音がした。



『ほんとちゃんと言えよな!このビデオないと作戦成功しないんだから!』
『はいはいはいはいわかったから。ほら出る出る!』


みんなの声が廊下に響き、やがてドアの閉まる音がそれを途切れさせた。







静まり返った部屋の映像が続き、はぁっというため息と共に画面端から雪ちゃんが現れる。


ストンとベッドに腰を下ろすと、俯いたまま雪ちゃんは髪をくしゃっとした。







…食い入る様に、小さな画面を見つめる。





『…1人で言うのもなんか恥ずかしいんだけど…』

ポソッと呟き数回頷くと、意を決した様に雪ちゃんは顔を上げた。



今度ははっきりと、雪ちゃんと目が合う。







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