雪がとけたら
第三章【修学旅行】
……………
寒い季節は終わりを告げ、緑の芽吹く春がやってきた。
相変わらずあいつの方が背が高いまま、僕等は小学六年生になった。
この年になると、昔とは違う感情を色々知るわけで。
『付き合う』意味も、『好き』の違いも、僕等なりには理解していた。
理解した上であいつのことを考えるけど、今更という気持ちや恥ずかしいという気持ちが、僕の中をぐるぐると回っていた。
それでも、あいつのことを好きだという気持ちは、僕の中では確固たるものとなっていた。
…いい加減桜の花も散り終えた頃、僕等の耳に修学旅行の話が届いた。
行き先は京都。
時期は5月。
僕等二人は、生まれてこのかたこの街を出たことがない。
自然と心は踊った。
「ねぇ、雪ちゃんはどこに行きたい?」
学校への行き道で、あいつは僕に聞いてきた。
最近の僕等の話題は、専ら修学旅行だ。