雪がとけたら



……………


京都は不思議な街だった。


至るところにお寺があって、ここが日本だという雰囲気を醸し出している。

でも出会う人は、外国人の方が多い気がした。

多分、初めて出会う外国人の印象が強かっただけだと思うが、僕は妙な矛盾を感じていた。


バスの中から景色を見ながら、ガイドさんの話を聞く。

京都は『碁盤目』になっているらしく、滅多なことがない限り迷わないと言っていた。

それでも父さんは迷うだろうなと思うと、ふっと笑いが込み上げる。

今から行く清水寺は清水焼が有名らしく、僕はここでおばあちゃんの湯飲みを買おうと思っていた。



清水寺。



…今から僕は、父さん達の出会った場所に行く。


ガイドさんの声が、耳から耳へと通りすぎた。





……………



< 44 / 300 >

この作品をシェア

pagetop