雪がとけたら



…耳元で、あの風車の音が聞こえた気がした。


僕の両親が出会った場所。

何かと何かを引き合わせる、不思議な力を持った場所。

僕はこの場所で、何も残せないのだろうか。

この場所は、あいつと僕を、引き合わせてはくれないのだろうか…。





僕は立ち上がった。

冷やかし?
そんなの糞くらえだ。

変な意地で、あいつとの思い出を残せないなんて絶対嫌だ。


あの風車だけじゃ、僕は満足できなかった。










…部屋の前に立つ。

そっと聞き耳をたて、中の女子達が起きていることを確認した。

男子でも起きてるんだ。
あれだけ地主神社に殺到していた女子が、起きてない訳がない。
僕は軽く深呼吸して、ドアをノックしようとした。

その時だった。



…ノックしようとしたドアが僕の目の前から消えた。

ガチャリという音がして、目の前にあいつのクラスの女子が現れる。

タイミングよく、彼女はドアを開けたらしい。


心臓が、ドクンと跳ねた。


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