雪がとけたら
……………
小学三年生になり、僕等はクラブに入ることになった。
僕等の学校は、三年生からクラブに入ることを許される。
僕はサッカークラブ、あいつはバドミントンクラブに入った。
週三回、僕等は放課後クラブ活動をする。
いつも一緒に帰っていたが、その3日だけは別々の放課後を過ごすことになった。
多分この週三回が、僕を少しだけ大人にしたのだと思う。
…「なぁなぁ、雪って、戸田と付き合ってんの?」
サッカーボールを蹴りながら、クラスメートの井上が話しかけてきた。
「つきあう?」
「だっていっつも一緒にいるだろ?行きも帰りも一緒だし。なぁ、付き合ってんだろ?」
嬉しそうに冷やかす井上。
だけど僕は、彼の言う意味がわからなかった。
「つきあうって何だよ」
ボールを蹴り返して僕は言う。
「え~?そりゃー…知らねぇけどさ。お前等みたいにずっと一緒にいることなんじゃねぇの?」
質問をしてきたのは井上の方なのに、ポリポリと頭をかきながらはっきりとしない答えを返してくる。
一緒にいることが『つきあう』ということなら、僕等は生まれた時から『つきあって』いるのか?
…いまいちよくわからない。