雪がとけたら

次の日の帰り道、僕はあいつに聞いてみた。


「なぁ、俺と悟子はつきあってんの?」


石ではなくネットに入ったサッカーボールを蹴りながら答えを待つ。

いつもは僕の前を歩き続けるあいつの足が、止まった。


「…え?」
「井上が言ってた。俺等みたいに、ずっと一緒にいる奴らのこと、『つきあう』って言うんだって」

僕等の間に、サッカーボールの跳ねる音が響く。

「悟子?」
「違うよ」

あいつの返事に、僕はボールを止める。


「付き合うっていうのは、そういうことじゃないと思うよ」


なんだか自分の意見を否定された気がして、僕はむきになって聞いた。

「じゃあ何が『つきあう』なんだよ?」
「あたしもよくわからないけど…お互いが好きで、それで一緒にいることが付き合うってことなんじゃないかな。お互いが好きっていうのが、一番大事なんだよ。」


あいつの答えを聞いて、益々わからなくなる。


「…じゃあ、やっぱ俺達つきあってるんじゃねぇの?だって俺、悟子のこと好きだし、悟子だって俺のこと好きだろ?」


当たり前の様に言う僕を、あいつは目を丸くして見つめていた。

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