雪がとけたら
原田は同じクラスの女の子だった。
ちっちゃくてちょこまかしていて、小動物を連想させる。
その割にハキハキしていて、女の子特有の媚びた雰囲気を持っていなかった。
誰とでも分け隔てなく接する態度が、女子にも男子にも人気が高い。
タオルを再び僕の肩にかけ、原田はぽんっと背中を押した。
「ほら、汗ちゃんと拭かないと風邪ひいちゃうよ?校門のとこで待ってるから、早く着替えてきてねっ」
原田の笑顔に僕も軽く微笑んで、「あぁ」と呟いた。
…原田から告白を受けた時、正直迷った。
あいつから離れるためには別の恋を探すのが一番いいと思っていたが、いざ告白されるとどうしていいかわからなくなる。
もしかしたら、この女の子を傷つけるかもしれない。
傷つける可能性の方が高い。
そう考えると、受けとることはできないと思った。
そんな僕に向かって、原田は言ったのだ。
『戸田さんを好きでもいい』と。
僕の気持ちを知られていたことにも驚いたが、原田は当たり前の様に続けた。
『知っての上での告白だもん。いつかあたしのこと好きになるかなっていう可能性が一ミリでもあるなら、あたしを逃げ場に使っていいよ』