crimson(短編)
そして、今日は紅茶の隣にイチゴのタルト。
これは好きな人とその彼女のラブラブデートを
見てしまった自分へ慰めのプレゼント。

目を真っ赤にしながらタルトのイチゴを1つ食べる。

…酸っぱい。

正確には胸がいっぱいで味がよくわからない。

折角買ったタルトだけど、明日食べることにした。

傷心していてもやけ食いはしない。

「だって、折角のタルトだもん。
もっと味わえる時に食べたいじゃない」


冷蔵庫にタルトを入れ、紅茶を飲む。

こちらも正直味がよくわからない。

あんなに砂糖とミルクを入れたのに。

「人間って、いっぱいいっぱいになると
本当に味がわからなくなるんだ…」

こんな感覚、すっかり忘れていた。
小さい頃 親に怒られた時以来だ。

だけど紅茶の温かさに少しだけ心が癒される。

「人間に例えると良き相談相手ってかんじ?」

良き相談相手か。
もし紅茶と話が出来たらどんな会話になるだろう。

< 2 / 3 >

この作品をシェア

pagetop