む☆げん愛


「なっ……
何してるのよーー!?」






あいつは声を震わせながらそう言うと、
ひとりのおとなしめな少年の腕を掴みあげた。







『は?うっせーな!!
ねーちゃんには関係ねーだろ!!!』







……ねーちゃん??






「優成――…水泳は??」






『そんなの、ずっと行ってねーよ!!』






「お母さんにバレたらどーするの……」






『そんなの、そのうちバレんだろ?

別にいーよ!!

母さんは頭の良いねーちゃんさえいればいいんだ!』





おいおい……
あんなところで姉弟げんかかよ――…






しかも
声のデカイ姉弟だなーーー……
まる聞こえだぞ!?






『優成のねーちゃんなの?
うひょーーー♪
かーわいっすねぇ!?』







馴れ馴れしい鼻ピアス男がからんでいる。







『かわいくなんかないっすよ!!
高校生になっても彼氏もできない、ただのがり勉っす!!』





『優成!!!
おねーさんに向かって失礼だぞ!
おねーさんはお前のことを心配して言ってるんだ!
そーっすよねぇ?』






深く何度もうなずくバカ。





『おねーさん!

優成は悩みがあるみたいで俺に相談してくるんですけど、俺じゃ付き合いが浅くてきちんと乗ってあげれないんですよね……

ちょっと優成のことで話したいんで、俺と一緒に来てもらえますか?』







「えっ!?あっ―…はい。」





そう言って鼻ピアス男に促されるまま車に乗り込もうとするあいつ。








ほんとうにバカだ………







危なっかしすぎる………






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