む☆げん愛
「さっきから何言ってるのよ……
そんなわけないじゃない。
お母さんは運動の得意な優成に期待してるのよ?
私なんて国立大学いけないんだから……
もう期待できるのは優成しかいないのよ!」
……―ん???
こいつまで何言いだすんだ?
『ねーちゃん、なに勝手なこと言ってんだよ!!
俺に期待されたって、水泳で大成するなんて無謀なんだから……
国立大いくほーが簡単だろ!勉強しろよ!!!』
「そっ……そんなこと言われたって、今からじゃ無理よ!!間に合わないわ!!」
おいおい……
何の話しをしてるんだ?
『……話し合い中にワリィけど、ちょっと聞いていいか?
さっきから“お母さん”“お母さん”て……
なんで大学行くことやら水泳するのにお母さんが関係あるんだ?』
これはこいつら姉弟の問題だ。俺が入っていく必要はない…――
“患者の私情に深入りするな!治療する医者に徹しろ!!”
研修生だった頃、さんざん上の先生たちに言われたじゃないか……
俺はそれが得意だったんだ“人は他人(ひと)”
そう思うことが……
今まで他人のことは興味もなければ口出しすることもない。
俺はそんな人間だったはずなのに……――
今晩の俺は
とてつもなくおせっかいがしたいようだ。