む☆げん愛
『ねぇ!
愛音ちゃん!?
デートしない?』
「…グスッ…ウッ…。
いい。吉井君は塾に戻って!」
『ダーメ!!
俺もう決めたから!!
まえ屋上で約束したじゃん?
1回デートするって。』
「…ウッ…ク…。勝手に決めないで…グスッ…。」
グイッ!と力強い腕に引っ張られた私の手
ギュッと握りしめられたままで歩きだす……―。
もう…強引なんだから…
でも…
今は自分の行き先すら自分で決められない…
吉井君の強引さがありがたい
甘えちゃイケナイとわかっていても…
弱虫な私の心は
いともたやすく目先の優しさに飛びついた…―。
塾にマルを帰しに行くという吉井君
私の手をグイグイと引いてズンズン歩いていく…
強引な吉井君とは裏腹に
握られている手は優しかった……―。