む☆げん愛
『着いたよ!』
ハァハァ…。
相当歩いた…
3駅ぶんくらいは余裕で歩いたよ……?
息を整えながら見上げる
「ここがどーかしたの?」
あまり大きくないビルの一階部分は改装中?みたいで工事の人たちが忙しそうに働いている
『なんだと思う?』
「うーん…。
そんなに大きくないし…
何だろう?わかんない。」
『ここにはね…
もうすぐ
“ジョン・カールの絵画展”ができるんだよ?』
「きゃー!!!!!
えぇっ!?ホント??
絶対…行きたい!!」
大好きな絵本作家
“ジョン・カール”
コラージュという技法をもとに、光や音といったしかけを取り入れる独特の作風から“絵本の魔術師”と呼ばれている
初期の作品から大ファンなのだ…
でも、なんで吉井君がそのこと知って…?
『やっぱり…
いつも図書館で絵本読んでたでしょ?
絵本コーナーで…
俺、知ってたよ?
愛音ちゃんのことずっと…
3年になってクラスが同じになって、あっ…この子…って。』
「そう…だったんだ。
私は気付かなかったな…
恥ずかしいよね、この歳になって絵本が好きだなんて…。」
『そんなことないよ!
絵本てさ、大事なことを伝えてるんだよ…
子どもたちにわかりやすいようにね。
だけど大人になったって、忘れちゃいけない大事なことなんだ!
それを分かってる愛音ちゃんはすごいよ!!』
「そっ//そんなふうに言ってもらったら…
嬉しいな。
でも…“ジョン・カール”ってそんなに有名?
よく知ってるね?」