む☆げん愛
『いいんだ。謝らないで。俺…決心ついたよ。ハハ…』
「???」
吉井君のよくわからない発言を聞いたが、それを聞き返す勇気もない私は、俯いたままその場に立ちつくした。
言葉がこぼれ出てくる口は、どこかに消え去っていた。
『行こう!』
そんな声と共に私の右腕は、吉井君の大きくてごつごつした左手に掴まれていた。
掴まれた右手首に湿っぽい温かさを感じ、吉井君が手に汗をかいているのに気が付いた。
もしかして、緊張…してくれてる?
そんな事を考えながら、吉井君に腕をひかれるままに後をついて行った。