む☆げん愛
吉井君を屋上に呼び出した…――。
『兄さんに言われたよ。
諦めろって……
早坂さんて、兄さんの同居人だったんだね』
「吉井君、わたしが優柔不断な態度をとっちゃったから。
吉井君だって傷ついてたのに。
甘えちゃいけなかったのに、ごめんね……。
でも、やっぱり私は早坂さんが好き。
もう止められないの。
だから、吉井君と同じ大学に行くことはできない。
ほんとーにごめんなさい」
『兄さんに聞いたんだね。俺と梶山先生のこと…』
「うん。でもね、私思ったんだ。
お兄さんは吉井君が裏切ったって言ってたけど、吉井君にだって何か理由があったんじゃないかって……
あんなに優しい吉井君が理由もなしに彼女を見捨てるわけないよ…」
澄みきった秋の空を見上げながら吉井君が呟いた。
『俺たちね、2人でどこかへ逃げるつもりだったんだ。
だけど、約束の日、“別れよう”ってメールが届いて……。
ミキは姿を見せなかった。
それきり話してない。
真相はわからない。
だけど、聞く勇気も、すがる勇気もなかったんだ。
どの道、多くの人との関係をきった中で生きていかなきゃいけない。
そんな生活、不安だったんだ。
こわかったんだ。
兄さんの言うとおり、裏切ったっていうのは当たってると思うよ。
だから、罰ゲームだってのったんだ』