む☆げん愛
「中田さん、がんばりましょうね。
誰だかわかります?」
緑の術衣に身を包んで、今日は中田さんの帝王切開術の日。
皮膚を切開したら手をがばっと入れて、ベビちゃんの頭をつかんで子宮のそとへ出し、子宮の底部を押す。
両手でベビちゃんを抱えて誕生!!
2人の元気な男の子をとりあげた。
助産師さんが出生時の決まった処置を施したら、俺の一番好きな瞬間。
ベビちゃんとお母さんが初めての対面をする。
中田さんは声をあげて泣いていた。
“あったかい、うれしい”って…
その声を聞きながら、俺は時間との勝負。
なんせ、ベビちゃんが出たあとの子宮は大量の出血がはじまっている。
のんびりなんてしていられないのだ。
だけど俺は縫合に自信がある。
だから、大丈夫…――。