む☆げん愛
「あぁ…わかったよ。
行くよ……」
ナースステーションからの視線が俺の背中を突き刺す。
俺は、中田さんとその家族に、
‘船酔いみたいなもんです。大丈夫です’ってことをバカ丁寧に説明した。
こんなことイチイチ誰が説明しにくるかよ……
病室を出る際、愛音と目が合った。
満面の笑みで俺に微笑むと、‘アリガトウ’って口パクしてきた。
これで満足か?
頭をポンてしてやりたかったけど、さすがにここじゃまずい。
俺は‘バーカ’って口パクを返してやった。