む☆げん愛
「あー!!こんな絵みたことない。
今までの技法とはまったくちがう。
でも、すてき……」
ドン!!
「あぁっ!!!
ごめんなさい……」
私ったら、絵に気をとられていたから…
『あっ……』
隣にいた早坂さんの低くおちついた声。
その目線の先には、すみません。と恥ずかしそうに頭をさげる梶山先生がいた。
『早坂君………久しぶり………』
早坂先生に気づいた梶山先生は、突然の遭遇に目をまんまるくしている。
『久しぶり……』
少し重たい空気が流れる。
空気の重たさが、2人の離れていた時間の長さを物語っていた。
『あら?あなた……
横尾さんじゃないの?
どうして早坂君と?』
なんて答えたらいいんだろう。
吉井君とのことも、サキさんのことも知っている私が、なんて答えたらいいんだろう。
『知り合いなんだ』
早坂さんの声。
えっ…
確かにそうなんだけど、それ以外、答えようなんてないんだけど、なんか…
寂しい響き。
『そうなんだ…。
ねぇ、早坂君、少し時間ないかしら。
サキのことで…。』
「うん。俺も、話したかった」
なんの話?
私にはわからないよ。
なにも……わからない。
だけど、苦しい。
胸が、張り裂けてしまいそうだよ。