む☆げん愛
*優しい手、守る手*
日だまりが恋しい季節となり、落ち葉が風に舞いはじめた。
けいちゃんのお腹ははちきれんばかりに大きくなり、
病室のメンバーも退院して変わった。
『胃が苦しくてね……
食欲がないのよ』
2人が入っているお腹は、いよいよ狭くなり、赤ちゃんは胃にまで到達していた。
わたしは、本当はダメだけど。
食べれるものがあれば、とコンビニで買ったパンやケーキ屋でみつけたかわいいマカロンを差し入れした。
病院食ばかりだったけいちゃんは、おいしいって嬉しそうに食べてくれた。
『今日はなんか熱っぽくてだるいのよね〜』
けいちゃんは、いつになく表情が暗い。
今日はあまり長居をしたらダメだと思った。
いつもより早めに病棟を出る。
エレベーター前。
早坂さん!!
「けいちゃん……
なんかいつもと様子が違ったんです。大丈夫かな」
『そぉ?まぁ、まだ34週に入ったばかりだし、もうちょっともってくれたらなぁ……
まっ、今日は俺が当直だから。
任せろって、な!!』
早坂さんの目尻がさがって、大きな優しい手が頭の上に置かれる。
大丈夫、この手が守ってくれるよ。
けいちゃんも、赤ちゃんも……――