む☆げん愛
面会時間いっぱいいっぱいいて、何も言ってあげられなかった。
けいちゃんの嗚咽が耳からはなれない。
沈んだ気持ちのまま病院をあとにする…――
『やっぱり……』
「えっ!?」
病院前の広いロータリーをでたら、相棒にまたがった早坂さんがいた。
『愛音のことだからな、こんなこったろーと思ったよ』
「どうしてここに?」
『わりーかよ、俺の職場なんだけど?
愛音より滞在時間長いんだけど?』
「職場って……
いつも当直あけはいないじゃないですか…」
『うるせーよ。ちょっと用があったんだ。
そんなことはいいから、乗れよ!』
久しぶりの二人乗り。
いつもなら心臓がバクバクして大変だけど、今日はホッと落ち着けた。