む☆げん愛
『何だ?気になるなぁ。』
吉井君はそう言うと、生徒手帳を背中の方に隠してしまった。
「やだ、返して!」
私は椅子から立ち上がり
吉井君の背中に回り込む。
『ますます気になった!まさか好きな奴の写真とか入ってるとか?』
そう言うと吉井君も立ち上がって、手帳を持ったまま右腕いっぱい伸ばしてしまった。
背伸びしたりジャンプしたり試してはみるが、
背の低い私は手帳に触れる事すらできなかった。
始めは冗談ですぐに返してくれるだろう。
そう思っていたが、吉井君の目が笑っていない事に気付き
降参するしかなかった。
「いいよ…好きにしなよ…」
視線を落とし、口を尖らせて呟く。