む☆げん愛
*くろ髪ノ王子様*
昨日までの三者面談日程は終わり、今日から普段の時間割に戻る。
(ふぁ〜)大きなあくびを一つ
昨日は爆睡したハズなのにまだ寝たりない。
下駄箱で靴を履き替えると、右手にある階段を登り教室を目指す。
これは二年間毎日繰り返してきた日常のこと。
ボーッとした頭でいると、昨日の事は夢だったのかな?
とさえ思えてくる。
教室のドアを開けようと手をかけたとき―――
『おはよう』
聞き覚えのある声が聞こえて後ろを振り返ると
ふんわりと前髪を垂らした吉井君が
私を数十センチ上から見下ろしていた。
「おっ、おはよー」
『ククク。いま、目が泳いでたよ。ハハ。』
そう言って笑う吉井君に
急に現実に引き戻され、昨日の事が夢ではなかったと知らされる。
「だって……昨日までの私たちはこんな挨拶ですら交わさなかったじゃん。
急にこんな…慣れないよ!」