枕の気持ち
本気の彼氏
やっぱりさきちゃんがたどり着いたのは夜の世界。

それと同時に遊びでもない、お金目的でもない、感情の入った彼氏が出来た。
若い彼だけど、彼も高校を出た後すぐに親の仕事を継いで、真面目に仕事をしてたみたい。お金も持っていて車も外車。おまけに長身でとてもかっこいい、さきちゃん自慢の彼だったみたい。さきちゃんの両親にもかなり好印象。水商売もする意味が無くなったの。

凄く嫉妬も強かったみたいだけど、反対にさきちゃんは自分を四六時中かまってくれる彼が好きでしょうがなかったの。

感情も全てぶつける事の出来る居心地のいい場所を初めて見つけたみたいにね。
若いけれど誰もが祝福してくれる相手と出会えたと信じていた…でもまたさきちゃんは悲しい涙を流す事になったの。彼から結婚する…。と言われたの…さきちゃんは勿論プロポーズだと思ったわ。でも彼から出た言葉は、さきちゃんとは別の彼女との結婚報告…。

「彼女としては最高だけど、さきはお嫁さんには向いていない…。うちは自営業で家庭をしっかり守ってくれる人じゃないと…。でも結婚してもさきとは付き合っていたい。」

さきちゃんは放心状態で家に帰ったわ。

おばさんにどれだけ怒られても殴られても泣いた事はなかった。いつもそれが可愛げないと更におばさんに怒られていた。

でもその日は初めておばさんの前で大泣きしたの…。おばさんも彼に騙された気分になっていたわ。
それでもさきちゃんは付き合い続けると泣き続けた…。おばさんは怒って、「そんな安物の女になるな」と怒鳴った…。

彼も使った事のある当時の枕さん…あなたも裏切られた気分だったでしょうね。さきちゃんの涙をたくさん吸ってくれてありがとう。私からもお礼が言いたいぐらいだわ。

結局さきちゃんの初めての本気の恋愛も実らなかった。でも若いからパワーがあったのね。男なんて…少し男を見る目が変わったの。

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