舞姫〜MaiHime〜

『……。』
『蕪木-!』
『ッあだ!!』
『今日は寝てないと思ったのに目開けたまま寝やがって!』
『ごめんね。』
『敬語を使え!年上とは敬うためにあるんだ!だいたい,お前が転校してきてから問題ばかり起きて実は女でしたなんて言われても焦る訳だし…ッて寝るな!』

あたし,別に寝てないし。
目開けたまま寝る訳ないじゃん。
あたしは見ていたんだ。

それが綺麗で,意外で。

瞬きも忘れて,ただただ見つめていた。

目が逸らせなくて。
ずっと見ていたかった。

今,思えば。
これがあたしの恋した瞬間なのかもしれない。

そよ風にふかれ,甘い薫りが鼻をかすめる。


授業が終わり,あたしは急いで彼の元に向かった。

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