片思い?両思い?
第1章
茜と理沙
「おはよう、茜」
「おはよう理沙」
朝の教室で挨拶するのは中学から一緒の小野 理沙(オノ リサ)
運良くクラスも同じになって、席も前後で本当にラッキー。
「さっき、日向先輩みたよ」
「ええええ!ずるい」
私がどうしてこの高校を選んだのかを知っている唯一の友達だ。
「ずるいって何よ。毎朝電車で一緒じゃない」
「そうだけど・・・いつも見たいもん」
どうして同級生に生まれなかったんだろ・・・。
「もうさ、告白しちゃいなって」
「ムリ!」
「即答しないの!」
「だって~・・・・」
廊下ですれ違うだけでドキドキドキドキするのに、目の前に立たれたら口なんて利けないよ・・・。
「何回考えてもムリ・・・」
考えただけで顔から火が出そうになる。
「・・・茜、このままじゃ2年間何もなく終わるよ?」
「うっ・・・」
「中学の2年間、片思いは十分にしてきたでしょうが・・・」
「ううっ・・・」
「存在を知ってもらうには告白が1番いい方法なんだって」
「・・・分かってるよ・・・分かってるけど・・・出来ないよ」
「私が言ってきてあげようか?」
ニヤリとする理沙。
「・・ダメ!それだけは嫌!気持ちを伝えるなら自分でやる」
「じゃあ、いつにする?」
「え!?・・・いや・・それは・・・いつ・・とは・・なんとも・・・なんとも・・・」
「はぁ。・・・茜のその消極的なところ直さないと・・・」
「分かってるもん!」
「分かってないわよ。分かってないから出来ないんでしょ?」
「分かってるのと、出来ないのは違うよ~」
毎朝こんなやり取りが日課のようになっていた。
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