片思い?両思い?
「お前らなんで帰るんだよ・・・」
玄関で靴を履く隆平に文句を言うのは日向。
「なんだよ?俺たちが帰るとまずいことでもあるのか?」
ニヤニヤしながら、悪戯っぽく聞く隆平。
「ニヤニヤすんな!・・・分かってるくせに・・・」
「いいんじゃねー?襲っても」
「・・・・は?!」
「心配してるのってそこだろ?」
靴を履き終わった2人は日向の方を向く。
「・・・おぅ・・・俺、襲う自信めちゃくちゃあるんだが・・・」
日向の顔を見てから、隆平は理沙の顔を見る。
「・・・そうだってよ理沙・・・どうする?」
隆平の質問に
「いいんじゃないの?」
しれっと言い放った。
「「え?」」
驚いたのは日向だけではない。
「いいのかよ・・・」
「いいんじゃない?ちゃんと付き合ってるんだし・・・茜だってその辺は分かってると思うわよ」
「まじか・・・」
日向は益々混乱する。
「理沙ちゃんが良いって言うなら・・・・そうなってもいいのか」
「・・・そんなこと自分で決めなさいよね・・・友達に確認取るってなんなの?」
「・・・だって、茜だぜ?」
「まぁ・・・そうね。・・・でも、ちゃんと大事にするんだったら私は何しようと文句無いけど・・・口出す問題じゃないしね」
「その辺はドライだね・・・あんなに仲良いのに」
「私も口出して欲しくないから・・・」
「「なるほど」」
「って、ことで、またな日向」
「えっ・・・ちょっと待ってく・・れ・・・」
最後まで言い終わらないうちに、隆平と理沙は出ていってしまった。
「マジかぁ・・・」
日向の呟く声が、玄関に少しだけ響いて消えた。