片思い？両思い？

「隆平がさ、言ってた」

「ん？」

「日向先輩は本当に茜を大切にしてるって」

「････ん･･･」

大切にされてるのは分かってる･･･つもり。

「ねぇ茜、付き合い始めの時は日向先輩の側にいられたらそれで･･･それだけで嬉しいって言ってたよね？」

「･･･うん」

「だけど、相手を知ってどんどん好きになっていくと･･いつの間にか不安とか、疑心とかでてくる･･･分からないうちにそうなっちゃうのよ･･･」


「分からないうち？」

「そう･･前はこんなこと思わなかったのに･･･誰よりも彼のことを信じて付き合ってきたのに･･･何かのきっかけで彼を疑うようになっていく･･･そんな自分が嫌だって思っても、その気持ちが消えない」

「理沙？」

「相手を信じることより疑うことのほうが･･･楽だから。本当にそうなったとき、ああ･･やっぱりって傷を少しでも小さくすることができるから･･･」

「･･･理沙･･･」

「でもそれって･･･本当に相手のことを見てる？･･･自信を持ちなさいよ･･･日向先輩は茜を裏切ったりしないわよ」

「･･うん」

疑っちゃ･･･ダメだよね。

「ありがと理沙。信じて待ってみるね」

「うん･･･私も隆平のこと信じようって思った」

「そうだ！いつ仲直りしたの？」

「ん？･･･宙に言われてから･･･隆平に「昔私と会ったことある？」って聞いてみたら、肝心なところは教えてくれなかったんだけど･･･なんとなく･･･教えてくれて･･･後は私自身が思い出さなきゃいけないみたい･･･」

「そう」

「そろそろ、過去の自分と向き合ってみようかなって思ってるの」

「･･･平気？」

「･･･多分。隆平もいてくれるしね」

「そっか･･･何かあったらいつでも言ってよ？いつも助けてもらってばかりだからさ」

「うん･･･」

少し不安そうに、それでも笑顔で答えてくれる理沙･･･強いなって思う。

私も見習わなくちゃ･･･。



その日の昼休み、日向先輩からメールがきた。

＜放課後一緒に帰ろう＞

わ～いわ～い！久しぶりに一緒に帰れるんだ！


放課後、教室で日向先輩が来るのを待っていた。