片思い?両思い?
「俺と付き合ってた頃の早苗の我侭は、確かに度が過ぎてたと思うけど、今はそんな我侭を言ってるようにはみえない」
「・・・うん」
「その気持ちもわかってやれない恵一が情けねぇって言ってんの!・・・なぁ?恵一」
さっき足音が聞こえたから、きっと恵一だ。
「日向、早苗」
タイミングよく恵一が入ってきた。
「恵一・・・」
恵一の姿を見て、早苗はまた泣いてしまった。
「ちゃんと2人で話しろよ?」
俺は早苗の頭をなでて、恵一の肩を軽く叩き、教室を出る。
「日向!」
「あ?」
「ありがと」
「おぅ」
恵一にお礼を言われ、ちょっとテレながら教室をあとにした。
・・・やっと、これでやっと茜に会える。
そう思うと自然と茜の教室に向かって走っていた。
茜の教室を覗くと、1人だけ座っているのが見えた。
・・・なんか久しぶりで緊張するな・・・。
・・・ん?
目の辺りを擦っているように見える。
・・・泣いてんのか?
「茜?」
俺は教室に入ると、声を掛けた。