片思い?両思い?
そっと唇が離れると、優しく抱きしめてくれる。
「茜・・教室にきた?」
「・・・はい」
「そっか・・・抱き合ってたって言うのは・・・ちょっと違う」
「・・・え?」
「抱きつかれた・・・って言うのが正しい。抱きしめ返してないし・・・」
「ほ・・・んと?」
私からそっと離れると、優しく微笑んでくれた。
「ああ・・・こっち来て」
日向先輩は私を窓側に連れて行く。
「そろそろ来ると思うけど・・・」
?
なにが来る?
「・・・あ・・・」
そこに見えたのは、手を繋いで歩いている恵一先輩と早苗さん。
「やっと仲直りしたみたいだな」
ちょっと安心したように微笑んでいた。
・・・思いっきり勘違いしてた?
すごく恥ずかしくなって、日向先輩に背中を向けた。
「こら・・・どこ行こうとしてる?」
すかさず腕を掴まれる。
「い・・・いえ・・・あの・・・」
後ろ向きのまま、日向先輩が抱きしめてくれる。
「ごめんなさい」
「何が?」
頭の上のほうで日向先輩の優しい声がする。
「疑って・・しまって・・・」