片思い?両思い?
隆平
「小野理沙さん、俺と付き合ってくれない?」
俺は理沙を呼び出して、告白した。
もちろんOKがもらえるものだとばかり思っていて
「お断りします」
と、言われたときには焦った。
ちょ、ちょ~っとまて・・・あれ?もしかして俺のこと覚えてねぇの?
いま君なんだけど・・・。
自分から名乗るのも悔しいから、何とか思い出させないとな。
なんてその時は軽く考えていた。
それからしばらく普通につきあったんだけど・・・全く記憶にないらしく。
へこんだ。
かーなーり・・・へこんだ。
理沙に聞けず、茜ちゃんに聞いてみた。
「ね、茜ちゃん。理沙の小さい頃の話って知ってる?」
「小さい頃?」
「うん。小学校3年くらい?の頃」
「・・・・うーん」
なんだか暗い顔をして俺を見る。
「理沙には私が言ったって事、言わないでね。それに隆平さんにだから話すんだからね」
「・・・はい」
「理沙はね、小学校3年から5年までの記憶が曖昧なの・・・特に3年の時の記憶は無いに等しいくらい」
「・・・・マジで?」
「うん。・・・お兄さんが関係してることは違いないんだけど・・・理沙が思い出すのをとても拒んでいて・・・過去の自分と向かい合えないの」
「・・・お兄さんて・・・啓斗さんだよな?」
「え・・・隆平さん、知ってるの?」
「ああ、ちょっとね・・・だけどお兄さんて、亡くなったよな?」
「うん。理沙を庇って亡くなったってことになってるけど・・・本当は違うみたい」
「違う?」
「うん・・・噂なんだけど・・・精神的に不安定になってて・・・その自殺・・・・だったんじゃないかって・・・」
「じ・・・自殺・・・・?」
「でも、これは噂なの・・・それに理沙は知らない。私は中学のときにお世話になった人にちょっと聞いただけだし・・・それで理沙の側にいるのもあるんだ。理沙が本当のことを知ったとき側にいてあげたいの」
「そうか・・・啓斗さんがね・・・」
衝撃的な話だった。
啓斗さん・・・・俺、好きだったな。