片思い?両思い?
隆平さんが言った言葉を何度も何度も胸の中で繰り返していた。
日向先輩の彼女の早苗さんは、とても可愛いのでモテるらしい。
早苗さんも悪い人ではないらしいんだけど・・・フラフラしちゃうと言っていた。
簡単に言うと二股とか簡単にするらしいんだよね。
隆平さんは「早苗さんと付き合う」と言った日向先輩に反対だったらしい。
日向先輩が傷つくのを黙って見ているわけには行かなかったって。
でも日向先輩は1年生の頃から早苗さんに片思いをしていて、やっと叶った恋だったから・・・どうしても付き合いたかったみたい。
「へぇ。日向先輩でも片思いとかするんですね・・・」
私が呟いた一言に
「気になるところはそこなの?」
と理沙に突っ込まれた。
「え?だって日向先輩が幸せそうならいいんじゃないかって・・・思うんだけど・・・」
なにか考え間違ってる?
「茜って本当に欲がないよね?」
「え~、失礼な欲くらいあります!・・・今だってドーナツ食べたいし」
「・・・それは食欲でしょ?私が言ってるのは恋の欲よ!」
恋の欲ねぇ。
「ププッ・・茜ちゃんは日向と付き合いたいとか思わないの?」
私たちのやり取りは隆平さんのツボに入るらしい。
「は?・・・そんなめっそうもない・・・こうして帰れるだけで嬉しすぎるのに」
「はぁ~、純粋なんだね」
と隆平さんは感心してる。
純粋?とは違うような気がする。
「臆病なだけよ・・・自分が傷つきたくないから片思いで十分ですなんて奇麗事言ってるのよ」
・・・あたり!さすが理沙、分かってるなぁ。
「え?そうなの?」
驚く隆平さん。
「そうよ。石橋を叩いて叩いて叩いて・・・・渡らないのよ茜は!」
「・・・えへっ」
「えへっ・・・じゃないわよ。もっと積極的にいけばいいのに」
理沙はぶつくさ言ってる。
こんな風に言ってくれるの理沙しかいないからなぁ。