片思い?両思い?
それから、数日が過ぎたある日、俺は病院の一室で、気を失なっている理沙の側にいる。
「理沙!」
俺は何回も理沙の名前を呼んだ。
そっと目を開けた理沙は、俺の名前を呟くかと思ったら・・・
「・・・いま君」
「え?」
昔呼んでくれていた懐かしい名前。
「隆平が・・・いま君?」
理沙の言葉に驚いた。
「理沙・・・記憶が・・・?」
「・・うん・・・大体なんだけど・・・」
「・・・そうか」
やっと、思い出してくれた。
俺は嬉しくて、嬉しくて理沙の手を強く握っていた。
その後、暁先生が入ってきて一緒に出かけることになった。
お兄さんの自殺。
病院の跡継ぎ。
そして霧島との政略結婚。
・・・どうして理沙ばかりが背負わなくちゃならない?
俺は・・・俺には何ができる?
それとも、側にいることは叶わないのか?
先が見えない。
理沙と付き合えて、凄く嬉しかったのに。
どうしてこんなことになるんだ・・・。
暁先生が出て行った後、すぐにまたノックの音が聞こえて、ドアが開いた。
「理沙?」
顔を出したのは
「茜!?」
その後ろから
「具合どう?」
「日向!?」
「お、隆平がいる」
日向が顔をだした。
「良かった、元気そう・・・最近頭痛がするって言ってたから、心配したんだよ」
「ありがと」
「それに・・・問題が解決したから。報告に・・・」
日向と顔を合わせて、恥ずかしそうに理沙に言っている。