片思い?両思い?
洸一さんが「コホン」と咳払いをした後で、
「それじゃ、本題にはいりますか」
一言いうと、一気にみんなの顔が真剣な表情になる。
こんなに変わるんだ・・・。
「理沙ちゃんはどの子?」
洸一さんが聞く。
「あ、私です」
「はい・・後は?」
「彼氏の隆平と友達の茜、その彼氏の日向先輩です」
「・・・了解」
「こっちも一応紹介しておくね。俺が洸一、隣が妻の香奈枝。後は幼なじみの暁、聡、未那。暁の奥さんの純ちゃん。で、未那の旦那の翔太・・・・・人多くね?」
紹介をしながら多いことに気がつく。
皆で総勢11人。
「部屋が広いからそんなにいる感じはしないよね・・・」
未那さんが呟くと、皆頷く。
「ま、紹介はこの辺にして、今日集まってもらったのは、理沙ちゃんのお兄さんのことなんだけど」
暁先生が話を始める。
「理沙ちゃんは、お兄さんの事故のことが原因で過去の記憶が抜けてたんだ。だけど思い出して・・・本当のことを知りたがってる・・・」
暁先生が説明をしてくれた後で、私が口を開く。
「兄が、私を庇って亡くなった事は母から何度も言われてわかっていました。だけど・・・その後、自殺だったんじゃないかって話があって・・・それを確かめたくて・・・・。本当のことを聞かないと前に進めない気がして・・・」
「そうか。分かった」
洸一さんが頷くと、聡さんに目配せをする。
「・・・暁からどうしたらいいか、相談があったのは理沙ちゃんのお兄さんが亡くなって3日目のことだった。お兄さん・・啓斗君の部屋から「遺書」を見つけたと」
「遺書?」
「そう、俺が啓斗君の部屋に行って机の引き出しから見つけたのは、事故の当日に書いたと思われる遺書だった。読んでみたら、プレッシャーに押しつぶされそうな啓斗君の精神状態が書かれていた・・・院長との意見の食い違いもあったとか、その他母親の異常なほどの愛情も苦痛だったと・・・」
「・・・・・」