片思い?両思い?
お兄ちゃんが亡くなってから、お母さんは精神的に不安定になり入院した。
私は毎日会いに行く。
「理沙・・・啓斗が顔を見せてくれないのよ。どうしたのかしら?」
「・・・・」
まだ小学生だった私はお母さんが何故そんなことを言うのかわからず、
「お兄ちゃんは、死んじゃったんだよ」
と、はっきり言った。
すると
「何言ってるの!?・・・あなたが殺したの?あなたが殺したのね?」
見たこともない怖い顔になって私を罵る。
暴れて・・・私を叩く。
物を投げる。
・・・最後は鎮痛剤で眠る。
私はお母さんに会えなくなった。
私の顔を見ると、憎しみがあふれ出すらしく・・・。
元々私を可愛がってくれる人ではなかったけど・・・ここまで嫌われるとは思ってなっかった。
そう・・・お兄ちゃんが亡くなって、お父さんの涙、お母さんの拒絶・・・私は心の奥にいつの間にか閉じ込めてしまっていたんだ。
小学5年生になったある日、お父さんに言われて私はお母さんに会いに行った。
「理沙、来てくれたの?ありがとう」
今までのお母さんが全く別人。
「啓斗がなくなったことを受け入れるのに時間が掛かってしまったわ。ごめんなさいね」
お母さん。
とても嬉しかった・・・・でも。
「これからはあなたが跡取りになるんですものね・・・ちゃんと勉強してる?啓斗に助けてもらった命なんだから大切にしなさい。・・・裏切ることは許しませんよ」
にっこり笑顔で言うお母さんが・・・・怖かった。
足に思い錘をつけられたような・・・もう、逃げられないような、そんな感覚に陥った。
その反動で、学校に行って鬱憤を晴らすように友達に当り散らしていた。
小学校6年になる頃には・・・私の周りには誰もいなくなっていた。
中学校に入っても状況は変わらなかった。
だけど・・・茜に出会って・・・救われた。
高校に入って、隆平、日向先輩も私のことを受け入れてくれて・・・とても幸せだった。