片思い?両思い?
ぼんやりとしていると、隆平が声をかけてくれた。
「理沙?理沙・・大丈夫か?」
「え・・・あ、うん」
「突然動かなくなったから、ビックリしたよ」
「ごめ・・・なんか全部思い出したかも・・・」
「え?」
「記憶が・・・・全部戻って・・・」
「理沙・・・」
気がつけば涙が溢れていて、隆平がそっと抱きしめてくれていた。
あったかい。
あったかいよ・・・隆平。
「理沙ちゃん、大丈夫?」
暁先生が心配そうに声を掛けてくれた。
「は・・い・・。すみません・・・」
私はそっと隆平から離れた。
「いや・・・」
「お兄ちゃんの・・・気持ちは、今となれば良くわかります。私がもっと年が近かかったら、お兄ちゃんも話をしてくれたのかもしれない・・・死ぬことは無かったのかもしれない・・・院長が話をしていて言ったわ「啓斗は心が弱すぎたんだ」って・・・院長やお母さんがお兄ちゃんを追い詰めたのに・・・それを認めてくれようとしない2人にも腹が立つの・・・」
「理沙」
茜の目には涙が溜まっていて・・・。
茜はずっと私の側にいてくれたから・・・私の気持ちをわかってくれてるんだと思う。
「理沙ちゃん・・・院長は確かに認めなかった。あくまでも啓斗君が悪いんだと・・・それに、結果自殺ではなく、理沙ちゃんを助けたことによる名誉ある死だとも言ってたよ。
俺もそのときは怒りがこみ上げたけど・・・院長はそうすることでしか、自分の事を保てなかったんだと思うよ。・・・親だから信じてきた、厳しくもした・・・だけどそれに耐えられる力が無かったことをわかってやることが出来なかった自分を、今になって責めてる」
「暁先生・・・」
「それが・・今ちょっと違う方向に進んでしまっていてね・・・・」
「どういうこと?」
純さんが聞くと・・・はぁ・・・とため息を漏らす。