片思い?両思い?


「理沙ちゃんに病院を継がせるのは、啓斗と同じ結果になるかもしれないって・・・理沙ちゃんを自由にするために、俺に院長をしてみないかってさ」

「「えええええええ」」

皆が驚く。

「暁、それで何て?」

洸一さんが聞く。

「ああ・・・ムリだって断ったんだ・・・しかも理沙ちゃんには霧島の長男と婚約させる話まで出てる」

「え?」

ちょっと・・・それは初耳。

隆平をみると、それほど驚いてはいなかった。

「霧島って今急成長している会社か?」

「そう」

「長男って言ったって、あそこは女の子しかいないよ?」

聡さんが言うと

「再婚したんだと・・・その長男を可愛がってるとかで・・・啓斗君の事を縛り付けてしまったから、理沙ちゃんは自由にしてあげたいと言ってたのに・・・政略結婚かよって」

「・・・嫌よ!・・・私は病院を継ぐために頑張ってきて・・・その覚悟だって出来てるのに・・・それに結婚は好きな人とじゃなくちゃ出来ない」

私が言うと、暁先生も、皆も優しく微笑んでくれていて

「・・・よかった。理沙ちゃんがちゃんと自分を持ってる子で。俺のほうもちゃんとお断りしたよ・・・他の先生も俺が院長になって面白くない人も沢山いるだろうしね」

「お父さんはどうしてそんな事・・・」

「理沙ちゃんの記憶が戻ってきたことに、焦りを感じていてね。院長の奥さんは啓斗君をものすごく可愛がってた。だけど院長は理沙ちゃんの方を可愛がってたんだ。院長の器は理沙のほうがあるんだがなぁっていつも口にしてたよ。だけど啓斗君が亡くなって・・・このまま理沙ちゃんを縛っていいのか・・・ずいぶん悩んでいた。悩んだ結果・・・こうなった・・と」

「・・・院長はいつもそう。私の意見なんか聞いてくれないの・・・」

「だから俺はこいつらにお願いしたんだ。こんな頼りになつやつらいないからな」

「大企業の息子に、弁護士、医者、看護師・・・なぜか設計士に美容師・・・」

洸一さんが言うと

「なによ?設計士と美容師じゃ役に立たないとでも言いたいわけ?」

未那さんが洸一さんを睨む。

「・・いえ、そんなことはありません」

・・・あの洸一さんが逆らえないとは・・・未那さん・・・すごっ・・・。









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