片思い?両思い?


「私は兄に代わって、この病院を継ぎます。だから霧島さんとのお話は無かったことにしてください」

私の言葉に少し目が泳ぐけど、ため息をついて

「・・・霧島君との話はなくなったよ・・・早瀬グループの人間が圧力をかけてきたらしくてね・・・あそこを敵に回しては、どうにもならない」

と、話してくれた。

「・・・早瀬グループ・・・」

・・・洸一さんと聡さんが、私のためにしてくれたの?

暁先生が言ってた

『後は、こいつらに任せておけば大丈夫』

って、このことだったんだ・・・・。

本当に心強い。

「それから、結婚相手は私が自分で決めます。そこは口を挟んで欲しくないの」

「・・・それは・・そうだが・・・交際は口をだすつもりはない。ただ結婚は別だ。理沙がここを継ぐと言うことであれば、婿をとることになる。その男がどんな男かは、見極める必要はある」

「・・・私が選ぶ男に間違いはないわ」

「はは・・・言うようになったな。まぁ、まだまだ先の話だ。恋愛は自由だ。問題を起こさなければ、私は何も言わんよ・・・話はそれだけか?」

「・・・いえ・・・」

「ん?」

「・・兄の・・・兄の遺書が見たくて・・・」

少しの沈黙の後

「啓斗のか・・・暁君にきいたのか?」

「・・・はい。これからこの病院を継ぐのに、兄の言葉を聞いておきたいの・・」

「・・・分かった」

それだけ言うと、院長は自分の机の引き出しから封筒を出した。

「ここで、読んでいくか?」

「・・・・うん」

私は封筒を手に取ると、中からて手紙を取り出す。

ひとつ、大きく深呼吸をして手紙を読んだ。










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