片思い?両思い?
第3章
日向と恵一
それから数日がたつ。
私は相変わらず何も進展しないままだった。
まぁ・・・世の中そんな簡単に彼氏なんて出来るわけないし、両思いなんて奇跡に近い。
・・・好きな人と両思いになるってどんな気持ちになるのか・・・いつになったら味わえるのだろう。
毎朝理沙は隆平さんと会うために早い電車で行っている。
あの朝の弱い理沙がここまで頑張れるんだもんなぁ。
やっぱり恋の力ってすごい。
一人ホームで電車を待っていると、少し離れたところに日向先輩を見つけた。
わぁ!・・・ラッキー。
やっぱり・・・かっこいいよなぁ・・・・。
身長は178cm中学時代は野球部のピッチャーで注目されてたんだけど・・・肩を壊してやめたって聞いた。
先輩は毎朝音楽を聴きながら電車に乗るんだよね。
私の視線に気が付いたのか、ふとこちらを見ると目が合ったような気がした。
ん?
日向先輩・・・手を振っている・・・。
誰に?
私はキョロキョロ周りを見渡すけど・・・それらしき友達はいない。
もう一度日向先輩を見ると・・やっぱり手を振って・・・・
!!
もしかして・・・私?
思わず私は自分を指差してみる。
するとコクンと日向先輩が頷いた。
うそ!?
私に手を振ってくれてたの?
顔がどんどん熱くなるのが分かった。
真っ赤になりながら3回くらい続けて頭を下げると、それが面白かったのか
「ププッ」
と笑っていた。
・・・いつも笑われるなぁ・・・。
あの笑顔が見られるだけで幸せだけど。