片思い?両思い?
「理沙、俺を紹介して理沙のお父さんが納得すると思うか?」
俺も立ち止まった。
「今は・・・ムリよ。だって高校生だもん。・・・だけど、これからお互い資格をとって経験んを重ねて信頼しあえてることが解れば、私は隆平を紹介するよ!」
「・・・過去や家庭環境を調べられたら、ふさわしくないことくらいすぐわかるよ」
理沙の眉毛が下がる。
「・・・隆平までお父さんと同じこと言うの?・・・そんなに世間体が大事!?家のお父さんとお母さんは政略結婚だった。そのために夫婦仲はよくなかった・・・だからお母さんはお兄ちゃんに執着したのよ。そんな家庭をずっと見てきたわ。だから私は好きな人と結婚する。隆平が世間体を気にして私と結婚出来ないっていうなら・・・医者になることをやめるわ!!」
「理沙!」
「だって。だって・・・そうでもしないと離れて行っちゃうじゃない!!」
「俺はそんな事望んでない!!」
「じゃあ、どうすればいいのよ!?私が医者になったら隆平は離れていく・・・医者にならないって言えばダメだって言う・・・私は隆平がいいんだもん・・隆平じゃないとヤダ!」
理沙は俺の両腕を掴んで俺の顔を見るけど、俺は横に顔を逸らし理沙の顔を見ることが出来なかった。
「隆平!」
ごめん。
「隆平の馬鹿!!」
理沙は走って行ってしまう。
「理・・・沙・・・」
・・・追いかけられない。
こんな中途半端な状態じゃ・・・。
そのまま町をブラブラする。
・・・俺たちはまだ高校生だ。
将来なんてこれからどうにでもなる。
だけど、過去と家族構成、家柄は変えられない。
俺がどんなにこれから努力しても、過去を調べられてダメだといわれれば、なすすべも無い。
「あれ?隆平君?ではないですか?」
特に何も考えずに歩いていたら、声を掛けられて、振り向くと
「・・・香奈枝・・・さん?」
洸一さんの奥さんがそこにいた。